とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「右京さん、目立ち過ぎ!」
「おぅ真也じゃね~か」
真也は俺達に挨拶しながらクラスメートのヤツらと隣のテーブルに座った。
「右京さん、体育祭リレー出ますか?」
「あぁ、みたいだ。」
「右京には何としても勝って貰わないと困る!」
そう言うバカ3人を半眼で見つめた。
「やっぱり!俺もアンカーなんだよ。
右京さん、俺負けないよ?」
真也は挑戦的な目で俺を見た。
「…お前一年の男クラだよな?」
「うん!」
「…まさかと思うが、勝ったら何かあるのか?」
「黒崎先輩、鋭い…」
「ズバリ、合コンですよ!」
「…合コン…だと?」
「優勝したら1Aの女子が合コンしてくれるんすよ~」
真也達の言葉に虎太郎と陸がピクリと反応した。
「全力で阻止だ!」
「えぇ!?なんでですか!!」
「動機が不純すぎる。」
「…焼き肉は不純じゃねーのか?」
俺のツッコミをスルーして虎太郎は真剣な顔になった。
「右京、頼んだぞ!」
「俺かよ!
だが…真也には負けねーよ」
俺はわざと挑戦的な笑みを浮かべると、真也は悔しそうな表情をした。
「ククク…かわいいヤツ。」
俺は優しく笑いながら真也の頭を撫でてやると、真也達は真っ赤になった。
「せっ…先輩…なんか色気が…」
「合コンより、俺も黒崎先輩に撫でて貰いたいっす…」
「なんだと!?右京は渡さん!」
なぜか虎太郎が立ち上がった。
「虎太郎…おすわり。」
素直に「はい」と言って座った虎太郎も撫でてやると、無いはずの尻尾を振ったように見えた。
「…前から思ってたんですけど、虎太郎先輩って右京さんの何なんですか?」
「“犬”だ」
俺の一言にそこに居た一同は揃って納得したのだった。