とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
自分の部屋に戻ると、パジャマ姿の忍がベッドの上で雑誌を読んでいた。
「…おい…人の部屋で何してんだよ…」
呆れた顔で声をかけると忍はちょっとふてくされた顔で俺を睨んだ。
「右京こそどこ行ってたのよ…」
「散歩して来た」
そう面倒くさそうに応えて忍の隣に仰向けで寝転んだ。
神社での事を話すべきかしばらく悩んでいると、忍が上から覗き込んで来た。
「…何かあったの?」
「…」
こいつはなんでもお見通しなのか?
勢いをつけて上体を起こしながら言った。
「なぁ忍。
…ちょっと見てくれないか?」
俺はシャツを脱いで忍に背中を向けた。
「!?…何これ!…」
「どうなってる?まだ見てないんだ…」
「どうもこうもないよ!酷い傷だよ!?
…でもおかしい…
傷口塞がってる。
こんなの有り得ない!!」
シャツには血痕があったし破れていたので堕天使になったのは事実。
「…そうか…」
困惑気味な忍を見ながら意を決してさっきの出来事を話した。