とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
翌日は土曜だったが、午前中に忍は一旦大学に行くと言い出した。
帰りを待ってても良かったのだが、時間が勿体ないので一緒について行く事にした。
駐輪場にバイクを止めて大学のキャンパスを並んで歩いた。
「レポート提出するだけだから、カフェで待ってて!」
そう言うと忍は建物の中に消えて行った。
俺はカフェの自販機で缶コーヒーを買うと、外のベンチに座ってキャンパスを眺めた。
土曜なのに学生が多いのに驚いた。
何かのサークルなのだろうか。
そういえばこの大学にも胡散臭いサークルがあるって言ってたな…
確か“オカルト同好会”だっけ…
ちょっと覗いてみたいと思いながらキャンパスの見取り図を凝視していると忍が戻って来た。
「お待たせ!」
「早かったな。」
「提出だけだもん。
…なんか探してるの?」
「例のオカルト同好会探してた。
部室ないのか?」
「同好会は人数少ないから部屋は貰えないんだよ。」
なるほど…
「気になるなら来月の11月末に学園祭あるから、その時行ってみたら?」
「忍が一緒に行ってくれるなら行く。」
学園祭は知らない女に捕まってなかなか思い通りに動けないから苦手だ。
「そういえば高校の文化祭も同じ時期だな…」
「じゃあ、私も右京の学校の文化祭案内して?」
「来てくれるの!?
ちょっとテンションあがる~」
俺がにんまり笑うと忍は微笑んだ。
「さ、そろそろ行こうぜ?」
俺は忍の手を引いて歩き出した。