とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
折角だから少し遠出して幾つか先の大きい駅までバイクを走らせた。
駅前にバイクを停めると忍は伸びをした。
「腰が痛くなっちゃった~」
「揉んでやろうか?」
なんて冗談を言いながらじゃれ合って歩く。
「どこ行く?」
「じゃあ、とりあえずプレゼントを見に行こう!
余所見しちゃって忘れちゃいそうだから。」
そう言う忍に「OK」と返して大手デパートを目指した。
さすがに土曜なだけあって結構混み合っていた。
俺はポケットに手を突っ込みながらショーケースを眺めていると、忍は腕に絡み付きながら真剣な表現で選び出した。
「指輪がいいの?」
「折角だから買ってもらえってみんなが言うんだ~」
…マインドコントロールか?…
「忍が気に入ったもんでいいぞ?」
「ん。綺麗な石が付いてるのがいいな~」
「…みんな付いてるじゃん…」
「そうなんだけどさ…
あ…この石…」
忍の指差した石はペリドットだった。
「右京の目の色に似てる。
…綺麗…」
「…お前ってホント俺が好きなんだな…」
「なっ…何言ってんの!?」
真っ赤になってムキになる忍がかわいい…
俺は忍のこめかみにキスすると店員を呼んだ。