とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
店員はペリドットの付いた指輪を幾つか並べながら、昔ペリドットが現在のトパーズだったと説明した。
「11月の誕生石はトパーズですけど、そういう意味ではペリドットもありですよ?」
と言われて忍はペリドットが気に入ったようだった。
「ペリドットがいいけど、デザインはこっちの方がいいなぁ…」
忍のわがままに店員は少し考え込んだ。
そして「ちょっと待ってて下さい」と言って奥に下がった。
しばらくするとカタログを手に帰って来るとショーケースの上に置いた。
「全く同じデザインではありませんが、来週にこの指輪が入荷するんです。」
店員が差した指輪は小さめのペリドットが付いた、装飾彫りされたちょっと凝った珍しいプラチナの指輪だった。
「これいいんじゃないか?」
「素敵…コレがいい!」
来週なら間に合うか…
忍の指輪のサイズを計ると7号だった。
「彼女さん細いですね~…
サイズ直して最短で来週の金曜の午後になりますが、大丈夫ですか?」
来週の金曜は忍の誕生日当日。
夜axelでパーティーがあるからギリギリだが間に合う。
「それでお願いします。」
忍は嬉しそうに微笑んだのを見て俺も嬉しかった。