とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「良かったな、気に入ったの見つかって。」
「うん!…でも値段見なかったけど…高いんじゃない?」
「相場がわからないからな~…
でもバイト始めたのもプレゼント買う為だし、忍は気にしなくていい。」
事実バイト代はそのまま貯金してたし、高校生にしてはかなりの額を貰っていた。
当初の目的は達成したが、留学後を考えてバイトはギリギリまで続けるつもりでいた。
何より、axelに来るヤツらが俺は気に入っていた。
特にガクは面倒見も良く、俺にとっては兄貴的存在だ。
そんな彼にも、もう少し恩返しがしたかった。
「意外と早く決まったな…
どこか寄ってく?」
「私観たかった映画あるんだぁ~」
「よし、行くか!」
忍と映画なんて初めてかも…
「よく考えたら、俺今まで忍とデートらしいデートしてなかったんだな…」
「どしたの、急に…」
「いや、映画なんて忍と来たことないじゃん!」
「家で一緒に観てるじゃない。」
「家と映画館じゃ違うだろ?」
あまり細かい事は気にしない忍は「大して変わらないわよ」とケロッとしていた。
「忍…そういうときは嘘でも“右京と映画館なんて嬉しい!”って言えよ。」
「…私素直だし…」
「お前のどこが素直なんだよ!」
「失礼ね!いつも素直じゃない!」
「“デレ”の時はな?
“ツン”の時なんてひでーだろ…」
「…意味がわからない…」
天然ツンデレキャラの忍には全く理解出来ないようで、俺はため息をついた。