とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
忍はクミの言葉に動揺しながらぶつぶつ何か言っていた。
「右京、見せ付けて帰れって言われたけどなんで?」
「...俺に変な虫が付かないようにじゃないの?」
「でも、見せ付けるって...何すればいいのよ。」
俺はあまりに真剣に考える忍に吹き出した。
「何もしなくていい。いつも通りにしてれば?」
「...わからないわ...」
「忍って人の意見には素直なんだな。俺の言う事聞かないくせに。」
「またその話?右京の言う事聞いてたら外歩けないもん。」
「何がそんなに恥ずかしいの?」
「...逆になんでそんなにストレートなのかが聞きたいわ...」
忍の言葉に俺は優しく微笑み「教えてあげようか」と言うと、忍はコクコク頷いた。
「ストレートに感情伝えないと、忍には伝わらないから。」
忍はキョトンとしながら理解できないという顔をした。
「忍は鈍感だからな。俺だけじゃなくて誰に対してもさ。」
そういうとちょっと忍はムッとした。
俺としてはごく当たり前の動作で忍の手を取るとその甲に口付けた。
「...どこの王子ですか...」
上からクミの声が聞こえて忍は慌てて手を引っ込めた。