とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~


翌日はすっかり忘れていたが体育祭前日らしく、午後は準備に駆り出された。


「…俺、体育委員じゃないんだけど…」

「堅い事言うなよ。どうせ暇だろ?」


クラスメートの橋本は笑いながら手招きした。


「ウリ坊の超人的運動神経が欲しい。」

「…要するにお前が楽したいんだな?」

「なんか奢るから頼むよ。」


俺は「何をすればいい?」と聞くと橋本は万国旗の束を手渡した。


「3束あるから3Aと3D…あとうちのクラスに向かって投げ入れてみて。」

「…4階か…」

「ウリ坊なら楽勝だろ?」

「まぁいけると思う。」

俺はYシャツを脱いでTシャツを捲ると3Aを見た。

窓から体育委員の女子が手を振っているのが見えた。


「3A投げるぞ!窓全開にして退いてろ!」


女子は「は~い」と言って避けたのを見て思いっきり束を振り被って投げた。

橋本はヒューと口笛を吹くと他のヤツからも歓声が上がった。


「次3D!行くぞ!」


同様に絶妙なコントロールで3Dのクラスに入った。

うちのクラスは虎太郎が手を振っていた。


「…何やってんだアイツ…」

「ウリ坊に手伝ってもらうって言ったら、喜んで手伝い参加してくれた。」

「橋本…計算高いな…」

そう言うとニヤリと笑った。


「虎太郎!避けるなよ!」


俺の声にギャラリーは「え?」と言う顔になった。

構わず思いっきり投げると万国旗と一緒に虎太郎が吹っ飛んだ。




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