とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
それを見ていたギャラリーは蒼白な顔をしたが、俺と橋本は爆笑した。
「さすが虎太郎!マジうける!」
「ウリ坊の言う事には忠実だな!」
4階から垂らされた万国旗を下にいた女子がせっせと運んでいた。
俺は近付いて「代わるよ」と言うと真っ赤な顔になってぺこりと頭を下げた。
「橋本!どこに結ぶ?」
「それは校庭端の3本ともフェンス!」
「3本ともだな?」
俺は垂らされた3本をまとめて担いだ。
「結構重くないか?」
「ん?そうでもない。」
「…筋肉バカだからな…」
俺は橋本に蹴りを入れてから走ると束を担いだままフェンスにヒョイと飛び乗った。
たるまない様に気を付けて万国旗を張った。
「ウリ坊、次こっち~」
呼ばれて体育倉庫に行くと畳まれたテントを指差して「運んで」と言った。
「…虎太郎呼んで来て。」
「呼ばなくても来たぜ。」
言われて振り返ると突進してくる虎太郎が見えた。
「右京~~!」
虎太郎は叫びながら俺に跳び蹴りを仕掛けて来た。
…が、少し屈んでその足を掴むと虎太郎を背中から地面に叩きつけた。
「テント運ぶぞ。」
俺は骨組みを数本担いで歩き出すと虎太郎を振り帰りながら橋本が後ろからついて来た。
「…アレ大丈夫か?」
「へーきへーき」
そう言って橋本の指示された位置にテントの骨組みを下ろした。