とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
後ろから戻って来たジンヤとユキ達も呆れた顔で俺達を見ていた。
「なんだよ…」
「…ガキだな。」
「さっきとは別人っすね…」
「ほっとけ!」
俺はガクが作ってくれたカクテルをのみながら口を尖らせた。
半分飲んだところで忍にグラスを渡すとカウンター内に戻った。
「黒崎くんの変貌ぶりにびっくりした…」
「今日は黒崎さん大人しかったっすね…」
「忍の誕生日だしな。
つかその言い方だと俺がいつも暴れてるみたいじゃねーか…」
「…あれで大人しかったって…」
「黒崎さんより強いヤツっているんすかね~」
「いるわよ。」
忍が即答するとみんなが驚いた。
「右京より強い人でしょ?いるわよ。」
「どんな人!?」
「…うちの師範だよ…」
「…え?空手かなんかやってるんすか?」
「古武道全般だな。師範には剣術、師範代には柔術教わってるけど勝てない…」
「どーりで…相当なんだろうな…その師範って…」
「あのじじぃ…妖怪だ…」
俺が悔しそうに言うとみんな笑った。
カウンターに来た虎太郎も師範の話に参加して、いかに強いかを熱弁していた。
「稽古の域を越えてる!あれは殺し合いだ!」
そんな虎太郎の言葉に「それはないだろ~」とみんなは更に笑った。