とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
日中は師範が道場にずっと居た為、平和に過ごす事が出来た。
天気が良かったので縁側で座布団を枕に昼寝をした。
コトリと物音がして目を覚ますと忍が縁側に腰を掛けていた。
「ごめん…起こした?」
「へーき。」
「…右京、イギリス行ったら大学行くの?」
「ん…向こうは9月からだからそれまでは叔父さんとこかな…
9月からは寮に入るつもり。」
「じゃあ、とりあえずはお父さんとこに居候だね…」
「忍との事もちゃんと言わないとな…」
「…お母さんは知ってるよ?
…お父さんは…おじいちゃんみたいな感じ…」
それを聞いて俺はげんなりした。
まぁ正しい反応だよな…
「…時々私も会いに行くよ…」
「ぶっちゃけさ~会おうと思えばすぐ忍のとこ行けるんだ…
俺、堕天使だし…」
「えぇ!?」
「でもかなり危険。絶対に悪魔に気付かれる…」
「…来ないでいいよ…
きっと離れる時ツラくなるから…」
「ん…きっと俺もツラくなる…」
俺は腕で自分の顔を覆った。
今の表情を見られたくなかった。
忍は指輪をいじりながら寂しげに微笑んだ。
「私…大学卒業したら両親のとこ帰る。
多分その頃にはお父さん日本に帰って来ると思うけどね。」
「そうだな…師範の事も時々頼むよ…」
「…」
俺は起き上がると四つん這いのまま忍の顔を覗き込んだ。