とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その後、放課後に着々と文化祭の準備を進めていた。
俺は当日までもう特に役目はなく、看板やらカウンターやらを作っている間、ベランダで昼寝をしていた。
「ウリ坊発見!」
窓から顔を出した橋本は俺を見てニヤリと笑った。
「…お前の顔見ると嫌な予感がしてならないんだが…」
「ウリ坊の超人的な怪力が欲しい!」
「またか…今度は何をさせるつもりだ?」
「体育館からマット持って来るの手伝って!」
俺は起き上がると「りょーかい」と言って橋本と体育館に向かった。
「そういや~放課後の体育館って出るらしいぜ…」
「何が?」
「幽霊だよ…」
橋本が真顔で言うから俺は吹き出した。
「んなもんいねーだろ!」
「七不思議のひとつだぜ?
体育館倉庫に閉じ込められて死んだ生徒の霊が…」
「…まさか信じてるとか?」
「俺UFO信じる派。」
「UFOと幽霊は違うだろ…」
そうこう話してるうちに体育館に到着した。
「…なんか聞こえないか?」
「…倉庫かな?」
「…ウリ坊!開けて!」
倉庫の戸に手をかけてピタリとその手を止めた。
「…橋本…これ今開けたらヤバいくないか?…」
「え!?…まさか!…ないだろ」
俺はバンバン!!と倉庫を叩いた。
「おーい。開けるぞー!」
中から「いいぞー」と言う声が聞こえて橋本と俺はホッとした。