とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
虎太郎の言う七不思議は“合わせ鏡”の噂だった。
「“合わせ鏡”って言ったら儀式で使うだろ?」
「悪魔召還にその方法があったな…」
「仮説なんだけど、七不思議が召還された悪魔の仕業って事もあるかと…」
なるほど…
興味深い仮説に俺は考え込んだ。
「虎太郎。情報収集出来るか?」
「お安いご用♪」
調べてみる価値はあるかもな…
教室に戻っても「ウリ坊と虎太郎は休んでていい」と言われ俺はマットに寝転んでいた。
日はだいぶ西に傾き、かなり暗くなっていた。
「…早くしねーと幽霊出るかも…」
そんな事を言う橋本はみんなにバカにされていた。
「おめーら笑ってるけど、うちの学校には“テケテケ”も出るんだぞ!」
「なんだ、その可愛い名前は…」
「誰が見たんだよ!」
「七不思議だよ!」
「あ~知ってる!屋上の階段が増えるってのもあったな…」
「あと音楽室の肖像画とピアノだろ?」
「プールで足引っ張られて溺れるってやつは?」
「「…」」
迷わずフォカロルが思い浮かんで俺と虎太郎は半眼になった。
「校庭の落ち武者もだろ?…あと旧校舎にも出るって話だぜ~」
「理科室の人体模型が動いたって聞いた事あるしな」
「…ちょっと待て…7つ以上あるじゃねーか。」
俺がツッコミを入れるとみんなが爆笑した。
色々な噂が入り混じってどこまでが七不思議なのかわからない状況だった。
そして事件はすぐに起きた。