とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
唖然とする俺と虎太郎…
「あんの野郎…」
にわかに蒼い光を放つ瞳で虎太郎は入り口を睨んだ。
俺は溜め息をつくと虎太郎の肩に手を置いて「後はよろしく」と言って部屋を出ようとした。
目の前でパタンと扉が勝手に閉まり、カチャリと鍵がかかる音が聞こえた。
…俺達を閉じ込める気か…
「…虎太郎…クソガキをなんとかしろ。」
俺は軽く指を鳴らすとドアごと吹っ飛び埃が舞った。
「捕まえて説教しとくよ。」
虎太郎は碧眼を細めてから一瞬目を閉じたかと思うと次の瞬間走り出した。
10分後…
千里眼のある虎太郎から逃げれる訳もなく、シャックスは首根っこを掴まれて戻って来た。
「…意外と遅かったな。」
「いろんなものが飛んで来たから…」
虎太郎はちょっと乱れた髪を掻きながら答えた。
予想以上に壮絶だったのだろう…
「さて、シャス…どうしようか…魔界に戻るか…」
魔法陣に下ろされたシャックスは借りてきた猫のように大人しくなった。
俺は壁に寄りかかりながらその様子を眺めていた。
「昔ここで召還されたんだ…
ボクが現れたらそいつは逃げ出したから、それっきり独りで…
人目につかないように、ここを抜け出すのは暗くなったらって決めてる!
前の時みたいに戦争を起こそうなんて考えてないよ!」
…おいおい…
前はそんな事考えてたのか…