とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
シャックスはただ単に気を引きたかっただけだろう。
見た目通りまだ子供だと俺は思った。
ちょっとしたイタズラの数々が“七不思議”として根付いのかもしれない。
虎太郎も困った様に笑ってからシャックスを諭すような瞳を向けた。
「…やりすぎました…
…ゴメンナサイ…」
シュンと俯くシャックスの頭をぐしゃぐしゃ撫でると、虎太郎は腰に手を当てて鼻を鳴らした。
「どうも魔法陣にいないとお前はとんでもない事をしでかすな…
常に俺が監視する事にする。
問題を起こしたら二度と人間界に来られないとおもえよ!?」
シャックスはキョトンとして虎太郎を見つめた。
俺はそれを見届けると旧校舎を後にした。
俺に“甘い”と言っておきながら、自分だって甘いじゃねーか…
そう思ったら笑えてきた。
正門近くでにやけた顔を教員に見られて気味悪がられた。
「黒崎キモいぞ…
まさか明日の文化祭でなんか企んでるのか?」
そんな事を言いながら教員は「ほどほどにしろよ~」と去って行った。
「…酷い言われようだな…」
何か企んでるとすれば俺じゃなく周りだろう。
まぁシャックスの件は虎太郎が何とかするし、騒ぎになる事もないだろう。