とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~

不良らしき男は防具なしでやる気満々だった。

俺もタオルを頭に巻いて気合いを入れる。

こんな頭の悪そうな奴の手下になるのはまっぴらゴメンだ。


「30秒だな。」

「いや、15秒で終わるだろう。」


陸と虎太郎がそんな会話をして居るのが聞こえた。


俺が細い目を更に細めて睨むと揃ってニッコリ笑って手を振って来た。


レフリー役の寛二の「ファイト!」と言う声が聞こえたかと思うと殺気を放ちながら男が拳を向け来た。

その拳を俺は左の手のひらで受けた。


「…なんだ口だけか?」


重みのないパンチにがっかりしながら素早く身を滑り込ませ、俺は男を背負い投げた。



放心状態の男に「残念だ」と一言こぼす俺にクラスメートが歓声を上げた。


その不良を皮切りに次々挑戦者は増え、午前中だけですでに20人は超えていた。


その大半は俺達に“投げられたい”と言う変わり者がほとんどだった。



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