とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その後も忍はシュートを決めまくると、現役バスケ部員は本気を見せ始めた。
「忍へばって来た?」
「…げ…現役には…かなわないよ…」
「仕方ないな。俺が代わるよ。」
しゃがみこんだ忍に手を差し出して立たせながら耳元でこっそり「夜困るから」と続けた。
「夜?なんかあるの?」
「またベットで“お預け”喰らいそう…」
ニヤニヤしながらそんな冗談を言うと忍は真っ赤になって思いっきり俺にボールをぶつけて来た。
「いてっ!」
「右京のばか!」
「なんだよ、こんな時だけ恥ずかしがんなよ。
いつもあんなに…いって~!!」
「ばかばかばかばか!!」
バシバシとボールをぶつけられて逃げ回る俺を見て「何やってんだ。あいつら…」とみんなに笑われた。
3ON3は接戦だったが最後に俺のシュートが決まって結局橋本を負かして終わった。
「忍かっこよかったよ~!!」
「うんうん!意外と運動神経良かったんだね!」
「ありがとー!」
橋本は近付いて来ると「お疲れさま~」と声をかけてきた。
「ウリ坊に勝てると思ったんだけどな~
忍さんがバスケ得意なのは誤算だった!」
「残念だったな。」
「でも楽しかったよ。
忍さん、ありがとう!」
「こちらこそ!」
差し出された手を忍はにっこり笑って握り返した。
「…」
「…」
「…あの…橋本君?」
「…おい…」
なかなか忍の手を放さない橋本を俺も睨む。
自分の行動にやっと気付いたのか、ちょっと赤くなって慌てて手を放した。