とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
忍は苦笑いをしながらさりげなく俺の服の裾を掴んだ。
「必要以上に忍に触れるなよ?」
「…ウリ坊…俺…忍さんもろタイプかも…」
「「え!?」」
俺と忍は同時に驚いて一瞬返す言葉に詰まった。
「だっ…ダメダメ!忍はダメ!」
「わかってるよ!
“タイプ”ってだけだよ。」
そう言われも俺は警戒して忍をぎゅっと自分の腕の中に閉じ込めたまま橋本を睨んだ。
忍はそんな俺を呆れた眼差しで流し見て溜め息を吐いた。
「橋本~忍さんは諦めろって…
勝ち目ねーだろ…」
「だから、そういうのじゃなくて!
ファンみたいな感じで…」
「…なるほど…それ判るかも!」
陸までそんな事を言い出して俺はだんだんイライラして来た。
「右京、落ち着いて!」
「無理」
忍は俺の腕を引いて耳元で「大丈夫だから」と囁いた。
「私右京以外にはなびかないよ?」
そんな事わかっていたが、必死に俺をなだめる忍が可愛くて不機嫌なフリをした。
「猛烈アピールされたら忍でもコロッと…」
「ないって!」
「なんで言い切れる。」
「だって私は右京の事…」
その先は容易想像出来たが忍の言葉で聞いてみたくて続きを待った。