とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「あのガキの事は虎太郎に任せただろ?」
「大人しかったのは一晩だけだよ…」
「サッサと捕まえて魔界に戻せ!!」
俺達の会話を聞いていた忍は引きつった。
「そうとう問題児みたいね…
潤君みたいにいい子なら楽なのにね…」
「潤か…アイツに任せてみるか…」
俺は忍の耳に…正確には契約の証に唇を寄せた。
「潤。シャックスを捕まえて来い。」
微かにピアスが光った。
「潤なら姿が消せるしすぐ捕まえて…」
言葉の途中でドーーンッ!と言う音が聞こえ振り向くとプールの方がから水柱が上がったのが見えた。
「「「…」」」
数分後、涼しい顔をした黒服の潤が全身ずぶ濡れになったシャックスの首を掴んで現れた。
「右京様、ただいま戻りました。」
「さすが潤…よくやった。」
ブルブルと犬のように頭を振って水を落とすシャックスはふてくされたように口を尖らせた。
「フォカロルがいるなんて聞いてない…」
「言ってねーし。」
「シャス!お前はなんで問題を起こす!」
「だって…独りでつまらなかったんだもん。」
そんなシャックスに忍は少し屈んで目線を合わせた。
「気を引きたくて手をやかせたの?」
「今日は違うよ!
…お祭りなんでしょ?楽しそうだったから…」
「じゃあ一緒に回る?」
忍の言葉にシャックスは目を見開いて忍を見つめた。