とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「忍!?」
しゃがんで動けない忍の隣でゲラゲラ笑うシャックス。
「あはは!おねえちゃん驚き過ぎぃ~」
「シャス君怖くないの~!?
あの人魂リアル過ぎだよ~…」
リアルな人魂なんて許可されてるワケねーだろ…
「忍…大丈夫か?」
「右京!」
「ハニー来てくれたんだぁ!」
「誰がハニーだ、誰が!」
シャックスが虎太郎に抱きついて喜んでいたが、虎太郎は思いっきり迷惑そうな態度で引き剥がしていた。
そんな様子を横目でみながら俺は手を引いて立ち上がらせた。
「俺とも廻ってくれるんじゃなかったの?」
「右京達が遅いからじゃない。」
少し不機嫌そうな顔で忍に睨まれ俺も思わず片眉を上げた。
「遅いって?
あの状況はどうみてもシャックスに拉致されたようなもんじゃないか!」
「すぐに追いかけてくれば良かったでしょ!?」
「だから来たじゃないか!!」
「遅すぎだって言ってんのよ!」
売り言葉に買い言葉でだんだん子供の喧嘩のようになって来た。
「二人ともストップ!!」
間に割って入った虎太郎は、ふぅと溜め息を付いてから切り出した。
「このままシャスを魔界に一旦連れてくから、忍さんと右京は仲良く二人で廻ればいいだろ?」
「ワタクシも魔界について行きますから、是非そうして下さい。」
そう言うと3人は「また後で」と言って闇の中に消えて行った。