とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その場に残された俺と忍は虎太郎たちのすばやさに唖然としながら目を合わせた。
「...逃げるように消えたわね...」
「シャックスを盾に逃げたんじゃねーか?...」
「...誰のせいで?」
「忍だろ。あの剣幕は誰でも逃げ出したくなる。」
あそこで虎太郎が止めていなければ永遠と続いていたかもしれない。
「とりあえず出ようぜ。ここじゃ話も出来ない。」
「なんか大声出したらお腹すいちゃった。」
「さっき食ったじゃねーか...」
「まだお好み焼き食べてないもん。」
忍の手を引いて出口から出てきた俺は受付の男子生徒に手を振って外の模擬店に向かった。
「俺が追いかけてくるの待ってた?」
「シャス君いっしょでそんな状況じゃなかった。」
「ナンパされなかった?」
「されないよ!すごいスピードで引っ張られてたし...」
何事もなくて安堵した表情になった俺を隣から覗き込んだ忍はクスクスと笑った。
「相変わらず心配性だね、右京は...」
「忍の首に縄つけて歩きたいよ。」
午後の模擬店はかなり混み合っていてお好み焼きをひとつ買うのも一苦労だった。
オープンカフェの様に並べられたテーブルに座って美味しそうにお好み焼きを頬張る忍を眺めた。