とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
忍の大学に着いたのは2時ちょっと前だった。
バイクを停めキャンパスを歩き出すと実行委員と思われる女に声をかけられた。
「君パンフレットもらってないでしょ?
はい!良かったら案内するわよ?」
「結構。わかるから大丈夫。」
「ここの学生?コンテスト出てみない!?」
またそれか…
「興味ないから。それに俺ここの学生じゃないし…」
残念そうに熱い視線を送ってくる女にウンザリしながら足早にカフェに向かった。
途中で忍から電話が来てまだかと聞かれた。
俺が来るのを待ちわびてたみたいに思えてちょっとテンションが上がる。
が、俺の顔を見るなり膨れる忍に上がっていたテンションが急降下した。
「やっと来た~!遅い!」
「あのなぁ…普通彼氏を見て開口一番に言うセリフが違うだろ…」
「それどころじゃないのよ!
早く逃げたい…」
「…何から?」
俺の腕を掴んでグイグイと引っ張る忍に首を傾げていると後ろから「黒崎先輩!」と声を掛けられて忍と同時に振り返った。
「誰だお前…」
「お前こそ誰だ!」
そう言われて呼ばれたのが忍だった事に気付いた。
「アイツ誰?」
「…ゼミの後輩で…なんて言うか…私の事好きみたいで…」
「…なに?…」
頭の先から爪先まで舐めるように見てから出来るだけ穏やかに口を開いた。
「忍に何か用?」
「お前には関係ない!黒崎先輩のなんなんだ!?」
「“彼氏”だけど何か?」
「ウソを付くな!お前みたいなチャラい男が彼氏な訳ないだろ!」
“チャラい”と言う一言に平静を装っていた表情が引きつった。