とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~


早川が声を荒げたせいですっかり注目を浴びてしまい、気付けば野次馬まで出てきていた。

騒ぎに気付いた店番の女がカフェから飛び出して来た。


「何事!?…あれ忍達じゃない…」

「アイコ!助けて~」


泣きつく忍にアイコはビックリして俺と早川を交互に見た。


「…右京君…喧嘩売っちゃダメじゃない!

営業妨害よ!」

「待て!俺売られた方なんだけど…」

「早川君が喧嘩売ったの?」

「篠崎先輩!こいつ何者なんですか!?」

「右京君は忍の彼氏だよ?」

「…みんなして俺をはめる気ですか?…」

「はぁ!?本当に彼氏だって!」


アイコも早川の疑り深さに驚きムキになりながら応えた。


「俺が見た目チャラいから忍の彼氏な訳ないって言われた…」


不機嫌な顔でアイコにそう言うとブーっと吹き出した。


「あははは!!ウケる、それ!」

「ウケねーよ!!

アイコ宇宙人得意だろ!?なんとかしてくれ…」

「バカにしてるでしょ…
まぁいいわ。早川君、このチャラ男は正真正銘の忍の彼氏よ!

間違いないわ。」


キッパリそう言い切るアイコに早川はだんだん蒼白になった。

俺はアイコにツッコミを入れたいのを忍が必死に止めた。


「…マジなんですか!?」

「本人前にして嘘ついてどーすんだよ…

わかったろ?もういいか?」


無言になった早川にヤレヤレと溜め息を付いて忍の手を取った。


「アイコ助かった。ありがとな?」

「高いわよ?

ほら、もう行きなさいって!
早川君は私が面倒見るから!」


忍もホッとした表情でニッコリ笑うと俺の腕にしがみついた。



< 334 / 405 >

この作品をシェア

pagetop