とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
早川が声を荒げたせいですっかり注目を浴びてしまい、気付けば野次馬まで出てきていた。
騒ぎに気付いた店番の女がカフェから飛び出して来た。
「何事!?…あれ忍達じゃない…」
「アイコ!助けて~」
泣きつく忍にアイコはビックリして俺と早川を交互に見た。
「…右京君…喧嘩売っちゃダメじゃない!
営業妨害よ!」
「待て!俺売られた方なんだけど…」
「早川君が喧嘩売ったの?」
「篠崎先輩!こいつ何者なんですか!?」
「右京君は忍の彼氏だよ?」
「…みんなして俺をはめる気ですか?…」
「はぁ!?本当に彼氏だって!」
アイコも早川の疑り深さに驚きムキになりながら応えた。
「俺が見た目チャラいから忍の彼氏な訳ないって言われた…」
不機嫌な顔でアイコにそう言うとブーっと吹き出した。
「あははは!!ウケる、それ!」
「ウケねーよ!!
アイコ宇宙人得意だろ!?なんとかしてくれ…」
「バカにしてるでしょ…
まぁいいわ。早川君、このチャラ男は正真正銘の忍の彼氏よ!
間違いないわ。」
キッパリそう言い切るアイコに早川はだんだん蒼白になった。
俺はアイコにツッコミを入れたいのを忍が必死に止めた。
「…マジなんですか!?」
「本人前にして嘘ついてどーすんだよ…
わかったろ?もういいか?」
無言になった早川にヤレヤレと溜め息を付いて忍の手を取った。
「アイコ助かった。ありがとな?」
「高いわよ?
ほら、もう行きなさいって!
早川君は私が面倒見るから!」
忍もホッとした表情でニッコリ笑うと俺の腕にしがみついた。