とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
俺の視線の先に目を向けた忍は「あ!」と声をあげた。
「そう!…あれ部長の岡本先輩よ?
丁度いいから聞いちゃおう!」
忍は俺を引っ張ると岡本と言う黒装束の男を追った。
「岡本先輩!」
「ん?…やぁ、君は確か黒崎くんだったね?
美鈴君の友達であってるかな?」
そう言う岡本は青白い顔で力無く笑った。
微笑んだつもりだろうが、その気味の悪さに忍は思わず固まった。
…この男…なんだ?どこかおかしい…
「…あ…あの、彼がオカルト同好会に興味があるみたいで…今年はどこで展示してるんですか?」
ちらっと俺を見て目を細めた。
俺は軽く頭を下げて「どーも」と挨拶をした。
「君もオカルト好きかね?
黒魔術はとても興味深いからね…」
「やっぱり儀式とかするんですか?」
「儀式?…なんのだね?」
「…やだなぁ…悪魔召還に決まってるじゃないですか。」
俺は半分カマをかけるつもりで聞いたが、明らかに“儀式”という単語に反応があったのを見逃さなかった。
「悪魔召還か。過去に何度か…」
「へぇ!本格的なんですねー!」
俺はいかにも興味あります感をアピールするためちょっとオーバーなくらい話に食いついた。
「君なら、きっとうちの同好会の展示を喜んでくれるだろう。
案内しよう…」
それを聞いて忍がゴクリと唾を飲んだのがわかった。