とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
サバサバした正確の忍に聞いたのが間違いだったか…
あの調子じゃ、例え同じ質問をされても大して気にもしないだろう。
俺が過敏過ぎなのか?…
確かに当分は遠距離恋愛が確定してる今、忍の事が心配で仕方がないのは事実だ。
忍にその気がなくても世の中にはろくでもない事を考えているケダモノが居るものだ。
そう言えば、ゴウがこの辺りで通り魔も多発してるって言っていたじゃないか…
ひとりで悶々としていると忍が俺の前にコーヒーを置いたのに気付いた。
「どうしたの?難しい顔して…」
「今難しい問題に直面している事に気付いたんだ。」
「あー…そう…
どうでもいいけど、私がバイト終わるまでにその問題解決しておいてね…
帰り道そんな怖い顔してたら置いて帰るわよ?」
「…」
…冷たい…
忍は来店した客に営業スマイルを振り撒いて去って行った。
ひとまず“通り魔”は置いといて、みんなは何故「振られたか」と聞いて来たんだ?
…忍を狙っているのか!?
俺と別れたら忍の彼氏の座に居座ろうとしているのなら納得がいくな。
「…それはないと思いますよ?」
果たしてそうだろうか?
現に忍に好意を持っている男を数人知っている。
もしかしたら…
「妄想し過ぎっすよ…
確かに忍さん美人ですけどね~」
だろ?だったら…
「って…ジンヤ…読心術か?」
「ぶっ…黒崎さん、心の声がダダ漏れっす!」
いつの間にか向かいに座っていたジンヤはお腹を抱えて笑った。