とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ひとしきり笑った後、ジンヤは涙を拭いながら俺を見た。
「珍しく考え込んでると思ったら…くくく…」
「なんだよ…ガキだっつーんだろ?ほっとけ!」
「言ってないじゃないっすかぁ~」
ニヤニヤしながら言うジンヤから視線を逸らすと「そう拗ねないで下さいよ~」と俺をなだめ始めた。
「今更ですけど、黒崎さんと忍さんって理想のカップルっすよ?」
「いいよ、無理しなくても…」
「マジで!美男美女で仲いいし、そこに割り込んでどうこうしようなんて普通考えないっすよ!」
「なんだ、今度は誉め殺しか?」
「一般的な意見っすよ。」
ジンヤがあまりにも力説するから俺はちょっと恥ずかしくなった。
「…そうか…ありがとう…」
「え!?…いや…あ…はい。
急に素直になられるとこっちが照れるんすけど…」
ジンヤが赤くなりながら少し慌てた。
「つか、お前ここで何してんの?」
「俺はゴウさんに頼まれて張り込みっすよ!」
「例の“通り魔”か?」
「はい。自分も気になるんすよね…
だって昼間もっすよ!?
なのに捕まってないのは絶対おかしいっすよ…」
以前ゴウからその話を聞いた後、axelの常連客からも“通り魔”について耳した事があった。