とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その話だと被害者には女性に限らず男性もおり、年齢もバラバラ。
犯人は「若い女だった」と言う人もいれば「中年男性だった」と言う人もおり、警察も捜査が難航しているとか…
「お巡りもパトロール強化するくらいしか出来ないみたいっすよ?」
「強盗ってわけでもないんだろ?
愉快犯ってやつかもな…」
「ですね~…突然一発殴られたか何かで混沌させられるだけみたいっす。
捕まえるの難しいかもしれないっすね~…」
そういいながらガックリ肩を落とした時、忍が「お待たせ~」とやって来た。
時計を見ると忍のバイト終了時間を15分程過ぎていた事に気付いた。
冬の日の入りは早く、外はすでに真っ暗だった。
俺達と一緒にカフェを出たジンヤは忍にちょっと真剣な表情で言った。
「忍さんも気をつけて下さいね~」
「もしかして“通り魔”?
怖いよね~…でも右京も居るし大丈夫よ。
ありがとう!気をつけるよ。」
そうジンヤに答えてニッコリ笑った。
ジンヤは俺にも「ちゃんとナイトして下さいよ~」と言うと暗闇に消えて行った。
「最近暗くなるの早くなったし、ちょっと怖いんだよね…」
「俺を呼べばいいだろ?」
「そうね…でもそれが出来るのも右京が居る間だけじゃない…」
「潤だって居るじゃないか。」
「…でも…やっぱり右京がいい…かな…」
そう言って寂しそうに笑うと、忍は俺の手を握り締めた。