とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
自宅に帰ると師範が玄関で待ち構えていた。
「遅い!」
「ただいま…って何かあったの?」
「ワシは今日病院じゃ。」
「知ってるけど?」
「病院まで送って行け。」
「はぁ?道場は頼まれたけど、病院も俺が送るの!?」
「今日は昼に帰ると言っていたではないか。
帰りは自分で帰るからあんしんせい。」
どこまでも自分勝手な師範にちょっとイラッとしたが、何を言っても無駄だろう。
「分かったよ…」
俺がカバンを下ろすと師範は俺にバイクのカギを渡した。
「…用意周到だな…つか俺の部屋入ったの!?」
「なんじゃ、マズいものでもあったのか?」
「…多分ないけど…」
「ならいいじゃろ。ほれ、行くぞ!」
さっさとガレージに向かう師範を見て「なるほど」と呟いた。
「バイクに乗りたいならそう言えよ!」
「右京や…もっとこう…でかいのがあるじゃろ…
それにしないか?」
「でかいの?…まさかハーレーの事か?
そんなの高くて買えねーよ!」
「なんじゃ、そうなのか…」
「このゼファーだって中型だから小さくはないだろ?」
突然何を言い出すんだ…
そのうち免許取って自分で乗り回すなんて言いそうで怖い…
師範は納得いかなそうな顔をしながらメットを被った。
俺はため息をつきながらバイクの発進させた。