とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「俺もクラブはよく行きます。
息子さんに会った事あるかもしれないっすね~」
「本当かい!?もし仁哉に会ったらいいかげんにしろって言ってやってくれよ!」
それを聞いていた虎太郎が飲んでいたペットボトルのお茶を豪快に吹き出した。
「おじさん、ジンヤのお父さんなんすか!?」
「ジンヤの事知ってるのか?」
「後藤さん、ジンヤにはかなり俺世話になってんですよ…」
「ジンヤいいやつっすよ!
クラブもオーナーいい人だし問題ないっすよ!」
虎太郎の言葉に俺も頷いた。
「ジンヤはクラブ通いっていうか、従業員ですよ。」
「アイツ働いてるのか?」
「はい、俺もバイトさせて貰ってます。
ジンヤは真面目だし心配ないですよ」
そういうと後藤さんは恥ずかしそうに笑った。
「クラブなんてカッコイい!
サキも行きたいなぁ~」
「サキはダメだ!お父さん許さんぞ!」
清水さんの反応に俺達は笑いながら「まだ早い」と口を揃えてサキに言った。
「最近通り魔も出るって言うじゃないか。」
「今日もだってなぁ~」
「昼間買い物途中の主婦が被害に遭ったらしい。」
その話を聞いて病院の急患を思い出した。
「友達のお母さんだったの!
ずっと様子がおかしかったらしいから、てっきり…」
「様子がおかしかった?」
「突然ぼーっとしたり、ブツブツ何か言ってたりしてたらしくて心配してたんです。」
サキは「うつ病ですかね~」と首を捻った。