とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
感情
当時俺は中学に上がったばかりだった。
忍は3年でかなりの人気がある事を知った。
何年の誰が忍を狙ってるとか、知りたくない情報は嫌でも耳に入ってきた。
あれは確か文化祭の準備で放課後居残りをしていた時だったと思う。
校舎裏で話す男女が目に入った。
すぐに女の方が忍だと分かった。
俺は校舎2階の窓からぼんやり見ていた。
離れている為、何を話しているか分からない。
だがその様子から告白されているんだろう事は容易に想像できた。
突然男が忍の腕を掴んだ。
忍が怯えて振り解こうとしている。
俺は心臓が止まるかと思った。
考えるより先に体が動き、2階の窓に足をかけた。
驚いた友人が後ろから何か叫んでいたが、全く耳に入らない。
その代わり聞こえたのは忍の叫び声。
「いやぁ!!右京ーーーーーー!!!!」
忍は俺を呼んだ。