とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
通り魔
日付が変わる頃、そろそろ寝ようとしたら虎太郎から携帯に着信があった。
「どうした?忘れ物か?」
『いや、例の“通り魔”の被害者なんだけどさ、サキちゃんが言ってたじゃん?様子がおかしかったって...』
「ああ、確かそんな事言ってたな...」
『帰りにジンヤに電話した時聞いたら、その前の被害者も同じような感じだったらしくてさ...』
「気味悪いな…宗教かなんかで洗脳されてんのか?」
『いや、接点はまるでないんだ。
それに通り魔に襲われた後はまた普通に戻ってるんだと。何事もなかったようにな。』
それを聞いて普通じゃないと俺にも判った。虎太郎もそう感じたから俺に電話をしてきたんだろう。
「人間業じゃないな。ちょっと気をつけてみる。」
そう言って電話を切ると布団に寝転んだまましばらく考えた。
絶対に何か共通点があるような気がする...
接点はない...被害者の年齢も性別もバラバラ...
まるで誰でもいいかのように...
いくら考えても答えは出なくて、そのまま俺は眠りに落ちた。