とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「あ!そういえば、今日また“通り魔”の被害があったんすよ!」
「またか?頻繁だな…」
「今日は夕方だったらしいんすけど、丁度忍さんの喫茶店近くで若い男がやられたらしいっすよ?」
偶然か?
「その男…どうなった?」
「無事でした。ゴウさんの知り合いだったらしくて、やっぱりここ数日おかしかったらしいんすよ。
でも通り魔に遭った後、元に戻ったって言ってました。
俺、通り魔って実はいいやつで除霊かなんかしてくれたんじゃないかって思うんすよ!」
違う気がする…
除霊じゃなくて…移ったんじゃないか?
それなら全て説明がつく。
だとしたら、なんでそんな頻繁に移ってんだ?
「…何かを探してる?」
「え?なんすか、急に…」
「ジンヤ…実は忍がバイトから戻ってからおかしいんだ。」
「忍さんが!?」
「これは俺の考えなんだが…」
様子がおかしくなった時点で何かが取り付き、それが抜けた時にうまくスイッチ出来なくて倒れたんじゃないだろうか?
「つまり“通り魔”じゃなくて…“宿主”の切り替えって事っすか?」
「おそらく。ゴウの知り合いから…忍に宿主を替えたんだ…」
ジンヤはゴクリと唾を飲んだ。
「だとしても、もし黒崎さんの考えが正しかったら…時間が経てば元に戻るんじゃないっすか?」
「そう思うか?」
「はい、今までそうだったし…」
確かに今まではそうだった。
頻繁に乗り換えてた…何かを探すように…