とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
帰宅して真っ直ぐ忍の部屋に向かった。
そっと扉を開くとベットでスヤスヤと眠る忍に近づいた。
その傍らに腰を落としそっと頬を撫でた。
「…ごめんな…今は何もしてやれない…」
もう少し辛抱してくれ…
絶対助けてやるから…
俺は眠る忍にそっと口づけて自分の部屋に戻った。
とりあえず相手の目的が俺なら何かモーションを起こすはずだ。
「潤」
俺はベットに座ったままフォカロルを呼び出した。
「…お呼びですか?」
「お前なら今忍に起きている事、わかるよな?」
「はい。何かが忍様を支配しています。」
「相手がわかるか?」
「いえ…ですが、人間に寄生しているのとなると、恐らくかなり力が強い者かと…」
「なぜそう思う。」
「理由は2つ。
1つは姿ですぐにバレてしまう可能性があるから。」
「俺が知ってる相手か…」
「憶測ですが。
もう1つはあまりにも力が強すぎて本体を出すと気付かれるから。」
「なるほど。」
「残念ですが、ワタクシには抑えられる自信がありません…」
「いや、いいんだ。俺がケリを付ける。
じゃないと気がすまない。」
悔しさで震える握り拳をフォカロルはそっと包んだ。
「…右京様。ご自分を責めないで下さい。
あなたのせいではありません。」
俺はフォカロルの手を払いのけた。
「どう考えても俺のせいだろ!
一番近くに居ながら…クソ!…情けない…」
両手で顔を覆うが怒りで自分を制御出来なくなりそうだった。