とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
しばらくすると忍は安心したように眠った。
俺はそれを確認しすると部屋を片付けてから廊下に出た。
自分の部屋に戻り着替えると虎太郎に電話をかけ、一部始終を話した。
虎太郎は「忍さんが無事で良かった」とだけ言った。
アスタロト相手に無傷で済んだのは運が良かっただけで、次何かあっても大丈夫という確証はない。
忍の身に危険が迫るとすれば、それは俺のせいだろう。
なんとなく頭を冷やしたくて寒空の中ひとり外に出てブラリ歩き出した。
歩きながら考える。
自分の存在の意味を…
何故主は“休暇”と言いながら力を持ったまま転生させた?
俺はうまく利用されたのか?
やはり番人としての宿命からは逃れられないのか…
他に道はないのだろか…
木々のざわめきが聞こえた。
「またここか…」
天狗の森…
俺様が転生した場所…
そしてウリエルが覚醒した場所…
「ここは落ち付くなぁ…」
モヤモヤした気持ちが晴れていく。
“宿命”…か…。
「上等じゃねぇか。
その道がひとつなら、道を歩かなきゃいいだけだ。」
…愚かな…
そう自分の中のウリエルが言っている気がした。
「まぁそこから見てろって。」
選択肢の中から選ぼうとするからダメなんだ。
がむしゃらにもがいて…
…その選択肢、増やしてやる。