とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
トレイに切り分けたケーキを2皿乗せて、ミネラルウォーターのボトルを手に戻った。
「お待たせしました、お嬢様。」
「ふふ…食べさせてくれる?私の執事さん。」
「お断りします。
ほら、こぼすなよ?」
仲良く寄り添いながらケーキを食べる。
「うまい!」
「そんながっつかなくてもまだあるでしょ?」
俺の口についたクリームを指ですくい取りながら優しく笑う忍が可愛い。
「なぁ忍…俺今すげー幸せなんだ。」
「私もよ。…またこーやって過ごしたい。」
「…忍ごめんな?…きっとこれからいっぱい心配かける。
不安にもさせるかも…」
「もう心の準備は出来てる。」
彼女はもう泣く事はなかった。
それが強さなのか、ただの強がりなのかわからない。
でも忍が考えてそうしているのだとしたら、俺は黙って頷けばいい。
「待ってて。必ず戻るから。」
「右京。…愛してる…」
その言葉をしっかりと胸に刻む。
約束するよ。
必ず
きみの元に
戻るから…