とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
第四章
翌朝、俺が起きた時には台所で朝食の準備をしている忍がいた。
そっと近づき後ろから忍の腰に手を回して抱きしめるとうなじに口付けた。
「おはよ」
硬直した忍の耳元で囁くと彼女は頬を紅潮させた。
その反応が愛しくて耳に唇を寄せた時、背後からものすごい殺気を感じて凍りついた。
「...おのれ、死にたいようじゃな...」
そう低く言い放った師範と目が合う。
一気に血の気が引いた。
「や...やばい...」
さっきまでの甘い雰囲気は毎朝こうしてぶち壊される。
そして有無を言わさず殴りかかって来る師範から逃げ回って道場へ行くのもほぼ毎朝同じ。
「なんだよ、クソジジィ!
邪魔すんじゃねぇよ!」
「うるさい!エセ天狗!!!
今日こそ思い知らせてやるわい!!!」
また朝から乱闘になり、遅刻ギリギリの疾走をしたのは言うまでもない。