とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
エピローグ
右京は数ヶ月後、異国の地へ旅立った。
私はと言うと相変わらずな毎日。
最近は右京がやってたみたいに朝晩に稽古をしたりしてる。
「忍~!」
カフェテリアでレポートを書いていた私は呼ばれて顔を上げた。
「セリ!おはよー。」
「レポートやってんの?真面目ね~…
右京君と別れて目覚めちゃった?」
「別れてないから!」
セリは「冗談よ」と笑った。
「で?彼は元気?連絡取ってんの?」
「時々ね。」
「寂しい?」
「そりゃあね~でも意外と平気!」
だってどこに行っても右京が居た痕跡に出会うんだもの。
街を歩いてたり、バイトしてたりしても右京と仲の良かった人に「右京さんの彼女」と声をかけられる。
「もう半年か~…」
「ん。そうだね~」
「そういえばご両親は?」
「来月帰って来るの。
おじいちゃんもいるから、一緒に暮らす予定。」
「じゃあその前にパーティー行かない?
来週末axelでやるらしいの。」
「ふ~ん。分かった。レポートが終わったら行くわ」
「おっけ~!約束よ?」
セリは手を振って次の講義へと走って行った。
私はひとつ伸びをするとスケジュール帳を開いて来週末の予定を書き込んだ。
しおり代わりに挟んであるそれを指で弄ぶようにクルクル回してみる。
日の光に照らされてキラキラ輝いて見える。
「素敵よ…右京。」
そう独り言を呟いて漆黒の羽根に口付けると微かに右京の香水の匂いがした。