とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「師範どのは本来の姿のウリエル様にお会いしましたか?」
「いや、ワシは報告を受けただけじゃ。
忍はどうなんじゃ?」
「私は…姿は見てないわ…」
それを聞いた虎太郎はちょっと何か考え込んだ。
「私の考えが正しければ…」
「わりぃ、虎太郎。…その話し方…止めてくれないか?
なんか落ち着かないんだよ、敬語ってさ…」
俺がそう言うと、小さく溜め息をついて「わかった」と答えた。
「これは俺の見解なんだが、ウリエル様と右京は全く別人に思えた」
…へ?
「と言っても外見は瓜二つ。
つまりーー」
一つの身体に二つの人格…
“二重人格”
「お二人とも、くれぐれもウリエル様に対する言動に気をつけて頂きたい。
もしウリエル様を傷つけるような事があったら…
例えお二人であったとしても許しません。」
不意に鋭くなった虎太郎の眼差しに師範と忍は緊張した。