とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
呆然と立ち尽くし見上げる忍と師範。
「…すごい…綺麗…」
虎太郎は片膝を付いて平伏し言葉を発した。
「ーーお久しぶりです、ウリエル様ーー」
妖しく光る瞳を虎太郎に向けると“俺”が口を開いた。
「…ハニエルか…久しいな…
“力天使”のお前が俺様の護衛とは…
堕ちたもんだな…」
「非力ながら、本来のお力が戻るまで護衛する命を主より賜りました。」
そう言って目を輝かせた。
それを無視して忍と師範に視線を移す。
困惑の表情の忍と師範。
「そう構えるな。
お前たちは“右京”が大切な人だと言っていた。
“右京”にとって大切であれば、俺様にとっても同等だ。」
“俺”はそう言うと、忍に近づいた。
おもむろに忍の顎を掴んでグイッと顔を近づけた。
「!?」
ビックリした忍の顔が目の前に移る。
“俺”は無表情でしばらく見つめると顎から手を放す。
「なるほど…強い光を持っているのだな。
“右京”が惚れたのが判る。」
今度は師範にの顔を覗き込んだ。
「ほぉ…これは驚いた。」
「なっなんじゃ!」
珍しくたじろぐ師範に“俺”は目を細めた。
「いずれ判る。まだ時ではない。」
そう言うと虎太郎に向き直った。