とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
スイッチ
その後、もうひとりの“俺”ーーウリエルは『疲れた。眠い。』と言って俺と入れ替わった。
と、同時に“黒崎右京”に戻った。
居間でお茶を啜りながら、虎太郎がウリエルについて語り出した。
「ウリエル様はポーカーフェイスで気まぐれな方なんだよ。
意外に茶目っ気があってそこがたまらなく可愛いだろ~?
さっきも手が滑ったなんて言って俺に当ててくるし~」
「…何故喜んでいる…」
可愛いどころか、普通の人間なら大惨事だ。
「それにしても“ウリエル”綺麗だったね~!
虎太郎くんも“ハニエル”になったらあんな綺麗なの!?」
テーブルに夕飯を並べながら忍が聞く。
「まさか!ウリエル様の足にも及ばないよ!
熾天使の階級で第五階級の俺にも普通に接してくれたのはウリエル様だけなんだ…
いただきま~す♪」
…ちょっと待て。
「いただきます、ぢゃねーよ!
何ちゃっかり夕飯食ってんだよ!」
「まぁ、よいではないか!」
そういう師範に『ですよねー』と相槌をうちながら食べ始めた。
「忍。虎太郎が来ても二度と家上げるなよ…」
「えええぇぇ!?」
この勢いだと住み着いてもおかしくない。