とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~


帰り際に虎太郎は『また明日な~』と言って出て行った。

それを聞いた忍は首を傾げて俺を見る。


「明日何かあるの?」

「…明日って土曜日だよな…

週末にアイツと会う用事なんか…

…あっ!!」


つい叫んでしまって慌てて口に手を当てる。


思い出した…
確か約束した。
“ナンパ”に付き合うと…


「…何?何かあるの?」

疑いの眼差しで俺を見る忍から目を逸らす。


言えない…
絶対言えない!!

それじゃなくてもバイトの友達の件で落ち込ませたばっかなのに…


「何もない!でっ…出掛けるだけ!」


そう言って自分の部屋に逃げ込んだ。

ドアを勢いよく閉めその場に立ち尽くす。

どーする!?俺!

意外にしつこい忍がこの位で諦めるとは思えない。


案の定後ろのドアが開いてドアノブが背中に思いっきり当たる。

痛さを我慢して振り返るとジリジリ迫り来る忍。

『ウリエル、なんとかしろ!!』


そう言って強引に人格を交代させた。
< 56 / 405 >

この作品をシェア

pagetop