とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
帰り際に虎太郎は『また明日な~』と言って出て行った。
それを聞いた忍は首を傾げて俺を見る。
「明日何かあるの?」
「…明日って土曜日だよな…
週末にアイツと会う用事なんか…
…あっ!!」
つい叫んでしまって慌てて口に手を当てる。
思い出した…
確か約束した。
“ナンパ”に付き合うと…
「…何?何かあるの?」
疑いの眼差しで俺を見る忍から目を逸らす。
言えない…
絶対言えない!!
それじゃなくてもバイトの友達の件で落ち込ませたばっかなのに…
「何もない!でっ…出掛けるだけ!」
そう言って自分の部屋に逃げ込んだ。
ドアを勢いよく閉めその場に立ち尽くす。
どーする!?俺!
意外にしつこい忍がこの位で諦めるとは思えない。
案の定後ろのドアが開いてドアノブが背中に思いっきり当たる。
痛さを我慢して振り返るとジリジリ迫り来る忍。
『ウリエル、なんとかしろ!!』
そう言って強引に人格を交代させた。