とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
俺は俺の中で静かに考えた。
そして思い切ってウリエルに声をかけた。
『なぁ…“偽り”にも口にしていいものだってあるだろ?
…人を傷つけるような真実なら、偽りで隠してやったっていいと思う。』
「人間らしい見解だな。
そもそも傷つけない“偽り”は“偽り”ではない。
“優しさ”だろう。
ひとつの嘘は隠せば隠す程、やがて大きくなり返って来るのだ。」
『じゃあ、どうすればいいんだよ』
「…真実を話せ。答えは自分で見つけなければ解決しない。
だが…」
『ん?』
「俺様はお前を嫌いではない。
今回は手を貸してやる。」
一瞬優しく聞こえた言葉にビックリした。
「忍と話をして来る。
…安心しろ。邪な考えはない。」
そう感情のない声で俺に言った。