とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
キャンパスを色々と見て歩いていると、寄りたい所があるといってとある建物に向かった。
「ここ図書館!ゼミのレポートの資料探して来るね?」
そういってズンズン奥に進んでいく忍の後を追うように俺も進んだ。
本棚と本棚の細い隙間で背伸びをしている忍を見つけた。
「この本?」
忍の後ろから手を伸ばして1冊の本を取った。
「ありがと!こういう時背が高いと便利ね~」
そう言って受け取った本に目を落とすとパラパラとページを捲って読み出した。
忍の後ろの本棚に両手を付いて忍を上から見下ろす。
本に影が落ち、それに気付いて俺を見上げた。
「こういう時も背が高いと便利。」
「ちょっと、ここ図書館だよ?!なにしてんのよ…」
「…図書館ってシチュエーション、いいな。」
そういうと忍の唇を親指でなぞった。
忍の長い睫毛が伏せたのを確認するとゆっくりキスをした。
一瞬唇を離して至近距離の忍を見つめる。
「誰にも邪魔されないで忍を堪能できる...」
何か言い返される前に再び唇で口を塞ぐと、忍の手に持っていた本がバサバサと落ちた。
忍が俺の頬に手を添える…
だんだん深くなっていくキス…
聞こえてくるに甘い吐息に理性が飛びそうになった。
『コホンッ!!』
頭の中に聞こえた咳払いで我に返る。
「…ウリエル…邪魔すんなよ」
そうボソッと呟くと忍が耳まで真っ赤になったが、離れるのが惜しくてコツンと額をくっ付けた。
「俺、忍がどうしようもないくらい好き。」
「うん...知ってるよ」
「忍にしかこんな気持ちにならないんだ...」
「うん...」
「だから今度…
虎太郎とコンパ行く事した...」
「.......」
忍はドンッ!!と俺を突き飛ばして思いっきり睨み、本を拾って行ってしまった。
『…愚かな…あの状況で言う事ではないと、俺様でも判る。』