とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
そのままみんながいる部屋に戻る気になれず、ロビーのベンチに座ってうなだれた。
「右京…大丈夫?」
「ん…ありがとな?止めてくれて…」
そう言うと忍はつらそうに笑った。
「…右京はいつだって守ってくれる…
…私だって右京を守りたいんだよ?」
隣に座った忍は優しく俺の背中を撫でた。
とても心地よくて落ち着く…
俺は忍の肩に頭を乗せた。
「右京?」
「今だけだから…ちょっと甘えさせて…」
忍は黙って背中から俺の頭に手を移して撫でてくれた。
「…さっき…右京の瞳の色がいつもと違ってた…」
「瞳の色?」
「右京は深い緑でしょ?
ウリエルは金色だけど…
でもさっきは…なんて言えばいいのかな~
…そう、翡翠みたいな色だった。」
確かにあの時、不思議な感覚だった。
『一瞬だが、俺様と人格が統一されたからだ。』
それは妙に説得力がある言葉だった。