とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
あの頃の俺はガキだった。
少し背伸びをしていて、好きなのに好きと言ったら“負け”だと思ってた。
だから忍に気付いて欲しくて…
忍から俺が好きだと言って欲しくて…
でも忍の性格からしてそんな事は有り得ない事で…
そんなモヤモヤした気持ちのまま日々だけが過ぎて行った。
そんな時、忍の父親の転勤が決まり一緒に暮らす事になった。
最初は心の中で超ラッキーなんて思ったが、実際に一緒に暮らしてみると苦痛で仕方なかった。
手が届くとこるに居るのに、手を出したらいけない。
触れたいのに…触れたら関係が崩れてしまう。
ただそれが怖くて…
怖くて怖くて仕方なかった。
でも“あの日”俺の何かが外れた…
それは、年末の寒い冬の日だった。