とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
あの日から何日か過ぎ、何事もなかった様な日常。
でも世間ではクリスマス目前でみんな浮き足立っていた。
俺も数人の女子からクリスマスを一緒に過ごしたいとか言われたが、もちろんそんな事する気も起きなかった。
そんなある日、学校から帰って来ると家の前に男女が立っているのが分かった。
自分でも分かる嫉妬の黒い渦が俺を支配する。
俺はわざと二人の目の前に不機嫌な顔で立ち「邪魔。」と言って間を割って入った。
門をくぐった所で忍と男の会話が耳に入った。
「誰?弟さん?」
「…うん…そんな感じ…」
…“弟”…
「クッソ…」
悪態を付いた時、風を纏っていた事に気付いた。
俺は振り返って男に声をかけた。
「おい!!」
こっちに視線が向いたのを確認してからソイツに向かって風をぶつけた。
「うわぁ!?」
風に押されて倒れた男に不適な笑みを投げた。
「あぶないぜ?
突風に注意しな。」
ワケのわからない男と、ワケに気付いた忍が俺を見る。
忍が俺を睨んでいたが無視して家に入った。