とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ムシャクシャした。
思い通りにならない忍に。
…違う…俺自身に腹が立ってたんだ。
素直になれば良かったと気付いたのは、ずっと後だった。
でもこの頃の俺は意地ばっかり張った、ただのガキだった。
夜稽古の後、自室のベッドの上に寝転がっていると、ノックをして忍が入って来た。
「なに?」
「夕方の事なんだけど…
なんであんな事したの?」
「何となく気に入らなかったから。」
「気に入らなかったって…
イノウエくんの事知ってるの?」
「知らない。
でも忍に近づく男は気に入らない…」
「それって…“嫉妬”?」
「だったら何?」
つくづく自分が嫌になる。
イライラを忍にぶつけてる俺が…
「…イノウエくんはただの友達だよ?」
「そう思ってるのはお前だけなんじゃねーの?」
「そんな事ないよ!
だってイノウエくんは好きだとか言って来ないもん!」
ーーガタンッ!
思わずカッとなって忍を押し倒した。