とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「右京くん!?
久しぶりじゃない!
すっかりイイ男になっちゃって~」
「ご無沙汰してます。
スミマセン、うちの師範がご迷惑おかけして…」
居間に通されると、お茶を啜りながら将棋を差す師範と玄武さんが目に入った。
「玄武師範代、ご無沙汰してます。」
「おおぉ!?右京か!!
でかくなったな~!
俺より背高いんじゃないか!?何メートルあるんだ!?」
「ぶっ…玄武さん、メートル単位?
183あります。センチ単位だけど。」
相変わらず天然な玄武師範代に笑いながら答えた。
「ジジィ帰るぞ。」
「なんじゃ、迎えなんぞなくてもひとりで帰れるわい!」
「…かわいくねーな…」
素直じゃない師範に溜め息をつくと玄武さんが笑った。
「クロさん、また来ればいいじゃないか。
折角右京が迎えに来てくれたんだし。」
ふん!とかわいくない態度の師範と玄関に向かう。
「忍ちゃんは元気?」
玄武さんの奥さんに言われてドキッとした。
急に忍の名前が出て不思議に思ってると、奥さんはコッソリ耳に顔を近づけた。
「聞いたわよ~!
忍ちゃんといい仲なんだって?」
「えっ!?
なんで知ってるんですか!?」
「黒崎師範が昨日言ってたのよ。
右京くん大変だろうけど、応援してるわよ!」
照れながら「どうも」と言うと笑われた。
それから師範をバイクに乗せ帰ると、「爽快じゃ!」と上機嫌で家の中に入って行った。
「…嫌な予感しかしないんだが…」
そのうちまた乗りたいとか言い出しそうだ。