とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ゆっくり歩いて男達に近づく虎太郎を見つめていると、穏やかな口調で言葉を発した。
「お前ら…地獄が見たいんだね?」
…マテマテマテ…
「こっ…虎太郎、冷静にな?」
「右京に向かって土下座だと?
土下座すんのはお前らの方だ。」
「なんだと!?」
男が虎太郎の胸倉を掴んだのが見えた。
虎太郎は掴まれたその手をゆっくりした動作で外すと捻り上げた。
罵声を発した他の奴らが虎太郎に一斉に飛びかかった。
「ヤバくね?」
『案ずるな。』
久しぶりに聞こえたウリエルの声に驚いて加戦しそびれた。
虎太郎は捻り上げた男を一旦放すと、今度はその両足を掴み持ち上げた。
そして次の瞬間、あろうことか男を一気に投げ回した。
「・・・」
なぎ倒された男達を唖然と見つめた。
『ハニエルはあれでも俺様の右腕だ。
任せておいて大丈夫だ。』
「そ…そうなのか?」
はたしてあれは“大丈夫”という状況なのかが謎だ。
虎太郎は仁王立ちして男達を鋭く光る碧眼で見下ろした。
「さて…土下座するのはどっちだ?」
虎太郎の言葉に男達は揃って「すみませんでした!」とひれ伏したのだった。