群青色のそら

いつも見るショウのあどけない表情は消え、少し寂しそうでどこか大人びた、そんな目をしていた。

青白い月明かりに
照らされた瞳と、視線が交錯する。


この目には全て見透かされている。
そんな気がした。



「オレだって‥‥

恐いんだよ」



ショウはそう言って、目を逸らす。



エルの涙は、
いつの間にか止まっていた。


―ショウも同じ。



そう解っただけで、
こんなことで悩んでいる自分が、馬鹿馬鹿しく思えた。


気分がすっきりした。


ただの自己満足にしか過ぎないことだが、それでも心が軽くなった。


「‥‥ショウ」


「ん」


「ありがとう」


「うん」


「そしてごめん」


「‥うん」



「‥‥戻ろっか」



ショウは立ち上がって、エルに手を差し伸べた。

「‥‥うん」


エルはゆっくりとショウの手を取った。




月が照らして出来たふたつの影が、
だんだん遠くなり、やがて消えていった。


< 16 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop